解決事例

2025/10/05解決事例

(解決事例)破産・管財(最初の弁護士に依頼して約10年経過していたケース)

N総合法律事務所、弁護士の首藤です。ご依頼者様からご了承いただきましたので、解決事例を掲載いたします。

 

ご依頼者様は、これまで複数の弁護士や司法書士に破産を依頼してきました。依頼をした後、債権者からの督促が止まった状態で安心して破産に必要な資料を集めず、辞任されてしまうという流れを約10年続けてきました。債務額は、遅延損害金の加算により約10年間で倍近くになり、900万円強になっていました。また、債務名義(判決)を取られていたので、時効も主張できない状況にありました。さらに、個人債権者に一部弁済しており、偏頗弁済の事実も確認できました。私は過去の依頼遍歴からすると通算4人目の弁護士でしたが、ここで私が依頼を断ったり、途中で辞任すればもう破産できなくなってしまうのではないか、そう思い、私で終わらせるという意気込みで事件を受けることにしました。複数の問題点から管財事件になることは明らかなので、管財事件として申立てしました。

破産管財人との面談では、管財人からかなり叱責されました。「(弁護士や司法書士などの)専門家を馬鹿にしているのか」といった主旨の発言が管財人からなされ、これまで長期間借金を放置してきたツケが回ってきました。面談には私も同席していたので、ずいぶん落ち込みました。そして、主に偏頗弁済分の債権者からの回収が破産手続では問題になりました。この債権者からの偏頗弁済分の回収という問題の解決には長期間を要することになりました。

通常、破産管財人が否認権を行使し、偏頗弁済分を回収するいう流れになるのですが、債権者側は偏頗弁済であることの認識がなかったので返還はしないと反論してきたのです。偏頗弁済は、大まかにいうと、債務者が支払不能であることを債権者が認識しつつ、債務者が他の債権者を害することの認識を持って当該債権者に弁済することがその要件になっています。債権者は、債務者が破産状況にあると知らなかったので、偏頗弁済ではないから返還する必要はないという反論をしてきたということです。

破産手続は時間との戦いでもあり、どのような形で手続きを終わらせるかということも問題になります。破産管財人が訴訟提起して偏頗弁済であることの立証をして債権者から返還させられるほどの確実な根拠があるのか、そうでないのかということも考慮の上、手続の進行方針は判断されます。

方針としては、訴訟提起ではなく、債権者との間で和解し、債権者としての届け出を取り下げてもらうとともに偏頗弁済分を破産管財人に返還してもらうという方針になりました。交渉は私が行うことになり、何とか取下げと管財人への返還を実現しました。

最終的には免責許可となりましたが、依頼から免責確定まで、2年強ほど時間を要しました。とても長く感じました。しかしながら、おそらく、私が依頼を断ったり、途中で辞任していたらご依頼者様は今も破産できていなかったのではないかと思っています。事件解決により、生まれたばかりのお子さんがいたご依頼者様の再起の道を整えることができ、よかったなと思うばかりです。

 

 

 

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