解決事例

2025/09/10解決事例

(解決事例)破産・管財(途中で本人が出廷できなくなった事例)

N総合法律事務所、弁護士の首藤です。

ご依頼者様からご了承をいただきましたので、大まかに事案の解決に至るまでの過程を掲載いたします。

 

ご依頼者様は、過去に自営業を営んでおり、多額の税金を滞納していました。役所とは話し合いをしており、分割納付という形で少額ずつ納税していました。

その支払いの負担だけではなく、仕事に関し、多数の消費者金融や信販会社から借り入れをしていたため、返済が滞るようになりました。返済に窮したため、一発逆転を狙ってギャンブルを行なったものの、うまくいきませんでした。どうにもならなくなり、私に破産を依頼することになりました。

過去に自営業者であったこと、免責不許可事由の浪費(ギャンブル)行為をしていたこと、事前に注意したにもかかわらず、私と契約した後もギャンブルを行っていたことが発覚したこと、私に依頼する直前に遺産分割協議を行い、かつ、その内容が親族への財産隠匿と誤解されるような内容であったため、管財事件になりました。私も、同時廃止は難しいと考えて申立てしました。

破産管財人との面談までは、ご依頼者様も参加し、手続きは順当に進んでいきましたが、ご親族の方からある日突然ご連絡があり、ご依頼者様がご病気で倒れた旨連絡がありました。私としばらく意思疎通が困難なほどの重大な症状で、回復までに長期を要し、手続きを自力で進めることが困難となりました。そこで、裁判所に対して報告するとともに裁判所への出廷義務の免除を上申しました。この上申は認められ、私だけが裁判所に行くことで手続きが進められるようになりました。

しかしながら、破産管財人から報告を求められていた遺産分割協議の正当性の問題が残っていました。ご依頼者様のご協力がしばらく不可能であったため、ご依頼者様が倒れたことにより今回の件が発覚したことである程度事情を把握していた親族の方々に事情を説明し、正当性を根拠づける資料の提出にご協力いただくことになりました。深刻な懸念点は、遺産分割の当事者が今回の手続に協力せざるを得ない状況になった一方で、協力した結果、過去になされた遺産分割協議の正当性が破産管財人に否認され、かえってご親族の方々が不利益を受ける可能性があったことです。その可能性があることをご親族の方々へ何度も説明し、あくまでも任意の協力のみ求めるという形で資料の収集提出、報告書を作成していきました。結果として、不当な分割協議でないと破産管財人に判断していただき、無事、免責許可を得ることができました。

今回のご依頼内容はとても難しく、私も無事解決できるのかと常に不安な心境でした。解決して安堵したものの、ご依頼者様はまだ完全に回復するには至っていません。私とお話しできるようになった時こそ真に解決したといえるのだと思います。

Copyright © N総合法律事務所 All Rights Reserved.