2025/06/19解決事例
(解決事例)破産・管財(長期間借り入れを放置して管財になった事案)
N総合法律事務所、弁護士の首藤です。今回も一つ事件が解決しましたので、ご依頼者様のご了承の下、事件について掲載いたします。
ご依頼者様は共働きの主婦でした。主に生活用品の購入でクレジットカードを使用し、返済不能になってからしばらくその状態を放置していました。
放置していたことには理由があり、以前に知り合いの士業を紹介され相談したところ、そのまま放置することをアドバイスされたからでした。ほとんどの債権者がサービサー(債権回収業者)となり、訴訟も複数社から複数回起こされ、判決も取られていた状態で相談にいらっしゃいました。アドバイスの意図は、時効を狙ったのかもしれませんが、サービサーは時効直前に訴訟を起こしてくるので、時効が完成しないことが最近は多いように感じます。放置したこともあってか、債務総額は約700万円にまで膨れ上がっていました。
債務の内訳としては、日常生活の出費が大半を占めており、特に換価可能な固有の財産もないと考えられたことから、同時廃止希望で裁判所には申立てをしましたが、管財事件になりました。債務額が大きいこと、債務を長期間放置していたこと、保有口座が10以上あること、配偶者がいたこと、一見して財産関係が不明確なことなどが理由になったのだと考えられます。生活費のための借り入れといえど債務額が大きく、調査が必要だと判断されたように思います。
申立人は、配偶者がいましたので、今回も夫婦間の口座送金による財産隠匿がないか問題になりました。管財人面談を実施し、債権者集会に備えていましたが、集会の一週間前に追加の資料の提出を求められました、集会までは数か月間期間が設けられるので、もっと早く連絡をいただければ…と思うところもありましたが、ご依頼者様と1日で準備し、管財人へ直送しました。その結果、債権者集会は1回で終了し、無事、免責を得ることができました。
今回は生活費の借り入れといえど、長期間放置してしまうと遅延損害金などで債務総額が膨れ上がり、借金を放置したこと自体が問題であるとして管財事件になってしまうことがあるという一例としてご紹介させていただきました。返済できないと感じたら、債務整理を取り扱う法律事務所へ早めのご相談をお勧めいたします。