解決事例

2025/05/12解決事例

(解決事例)破産・管財(競馬による浪費とインターネット上の換金サイトを利用した換金行為)

 Ǹ総合法律事務所、弁護士の首藤です。今回も解決事例についてご了承をいただきましたので、掲載いたします。

 

 ご依頼者様は、日常のストレスなどから配偶者に隠れて競馬を行っていました。配偶者はご依頼者様を信頼し、家計の管理を委ねていたことから、どのような収支状況であるかを把握できない状況にありました。そのような状況が続き、最終的には競馬で借り入れた金額は約1000万円にも上りました。消費者金融や信販会社のカードローンを利用したことによりこの金額に至りました。それだけではなく、競馬の資金とするため、クレジットカードで購入した商品を現金化したり、決済から直接現金を口座に振り込ませるような形で資金を調達していました。

 預金履歴をみると、換金サイトの名称が複数出てきます。破産する方々において換金行為が問題になるときは、大抵換金サイトの入金履歴が出てきます。最近ではキャリアの決済を利用した換金方法もみられます。履歴を逐一確認していくと、換金総額は約1000万円でした。破産との関係上、浪費、換金は免責不許可事由であり、金額の大きさからも、破産管財人が就くものでした。この程度の金額になると、破産手続中に再度競馬や換金を継続して行えば、免責不許可になることは避けられないように思います。

 ご依頼者様は、ギャンブル依存症であることの自覚があり、病院での更生プログラムの受診をしつつ、配偶者に家計管理を交代して委ねることにより、競馬や換金ができない環境にして問題に対処しました。免責不許可とならないよう細心の注意を払い、早期に申立てをしました。

 破産管財人は、面談の際、ご依頼者様に対して、利用した消費者金融や信販会社の名称を一つずつ答えさせました。借入金額が大きいと、債権者からお金を借りているという意識が弱くなる方が多く、どこから借りているのか把握できていない、覚えていないという方がいらっしゃるからです。もちろん、破産管財人から債権者を一つずつ尋ねられるといったことは、破産管財人の裁量であり、私が事前にこのような質問をされるとすべて助言することはできないので、自身がどれだけ破産することに対して真摯に向き合っているかが問われることになります。破産手続きにおいて、一番の損害を被るのは、家族や親戚ではなく、債権者であることを忘れないでいただきたいと思います。親族が連帯保証人になり、代わりに支払うことにより求償権を取得し、債権者になる場合もあります。

 破産手続中、裁判所から指示があったのか、破産管財人の裁量によるのか詳細はわかりませんが、全口座の追加の預金履歴の提出を求められました。浪費や換金行為が継続していないかを確認する目的です。また、直筆の反省文の提出を求められました。この点は、事前にどのような経緯で破産申立てするに至ったのかを記した書面を提出していたにも関わらず求められました。幸い、競馬や換金を私に依頼した後は一切行っておらず、反省文も速やかに提出したため問題は生じませんでした。そして、最終的に免責許可も受けることができました。

 借入金額がこれほどの大きさになると、任意整理は焼け石に水で、遅かれ早かれ途中で破綻します。再生手続についても、住宅ローン債務を負っている、どうしても債権者に一部返済したいなどの事情がない限り、選択するメリットはあまりありません。もちろん、破産を提案した後、任意整理をどうしてもやりたいというご依頼者様の場合は、リスクをしっかり説明したうえで依頼を受けています。なんでもかんでも破産に誘導しているわけではありません。多重債務者の場合(私は、債務総額500~600万円で手取りが20万円前後を想定しています。)、破産→再生→任意整理の順で検討するようにしています。

 今回も大変でしたが、何とか解決できて良かったです。ご依頼者様や配偶者の方も安心されてました。一つずつ丁寧に事件を解決することを今年も心がけていきます。

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