解決事例

2024/12/21解決事例

(解決事例)破産・管財(住宅資金特別条項付個人再生からの転換)

Ǹ総合法律事務所、弁護士の首藤です。

続いて、別の事件の解決事例も掲載いたします、こちらもご依頼者から掲載についてご了承をいただいております。

 

今回のスタートは個人再生からでした。依頼者の方は、ギャンブルで借金を作ってしまい、返済が難しくなったため、ご相談にいらっしゃいました。当初は、住宅ローンを組んでおり、破産すると自宅を処分しなければならないため、住宅ローンを支払いながら他の債務を強制的に減額する「住宅資金特別条項付個人再生」を選択しました。住宅ローンを支払いつつも再生のための書面を作成し、裁判所に申立てしました。

裁判所が書面を受領し、不備がないことを確認したうえで事件番号が付与されました。再生手続では、再生委員(弁護士)が選任され、再生計画案通りの返済をしていけるかを監督し、月の返済予定額と同一の金額を再生委員の口座に入金していくという履行テストが約半年間ほど実施されます。そのため、裁判所から再生委員が決まったとの連絡も受けました。

ところが、その連絡を受けた翌日に依頼者から連絡があり、再生をやめて破産したいという連絡が来ました。理由は、今回の件で離婚することが決まり、もはや居住の必要性がなくなったというものでした。急いで裁判所に連絡し、事件を取り下げることはできないかと相談しました。裁判所からは、①再生委員が選任された以上、履行テストにより支払う予定である金額相当分は本来支払ってもらうところだが、取下げ希望が早期であったため、支払いは特別に不要であること、②このようなことは2度とないようにと厳重注意を受け、取下げを認めてもらいました。

何とか破産に方針転換できる筋道を立てることができたので、残債が住宅ローンを除いて400万円ほどであったことから、任意売却(不動産仲介業者に依頼して、住宅ローン債権者である金融機関の言い値で買い手を探してもらい売却し、その売却代金をローンの返済に充てること)したうえで、残債も少なく、換価処分可能な財産もないとして同時廃止を狙うという方針を立てて、まずは任意売却することにしました。

金融機関の言い値で買い手を探さなければならないので、買い手が見つかるまで半年近くかかりました。ようやく買い手が見つかった日の前後に、本当にタイミング悪く、今度は一般債権者(住宅ローン債権者ではないギャンブルでお金を工面した際の貸し付け業者)が強制競売の申し立てをし、強制競売開始決定が送られてきました。この行為にどれほど意味があるのか、憤りを感じました。というのも、住宅ローン債権者は高額の貸し付けのために不動産に担保権(抵当権)を設定するため、任意売却であろうが、競売にかけられようがその売却代金から全額に至るまで優先的に返済・配当を受けることができます。これに対し、一般債権者は担保を取っていないので、担保権者に劣後します。そのため、ローン残債以上の金額で売れることはほぼない以上、実際には返済を受けることはできません。つまり、ほぼ意味がありません。

この競売を阻止するため、破産申立てを早めることにし、破産手続きの中で任意売却を破産管財人にしてもらうという方針変更をしました。破産手続開始決定がされれば、競売は効力を失うからです。資料の収集、作成は大変でしたが、急いで破産申立てをしました。そして、一般債権者も競売申立てを同時期に取り下げました。

破産管財人は、住宅資金特別条項付個人再生の再生委員と同じ弁護士が選任されました。破産管財人は、不動産仲介業者や住宅ローン債権者と調整をし、買い手を見つけて売却しました。破産手続内で売却代金を配当し、最終的に免責許可を受けました。この時点で当初の再生の依頼から2年半が経過していました。

紆余曲折を経て、免責許可に至りましたが、その間、依頼者と配偶者は復縁し、再婚するかは聞いていませんが、関係を継続するという形で元のさやに戻りました。私は結婚したことがないのですが(それどころか最近振られてしまいました…)、問題解決により、夫婦関係が多少でも改善されることを心よりうれしく思っています。この事件も年内に解決できてよかったです。

年内の解決事例の掲載はこれで最後になるかと思います。現時点でも、裁判所に係属中の事件が複数ありますので、うまく解決できればと思っています。

 

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