2024/11/01解決事例
(解決事例)破産・管財
N総合法律事務所、弁護士の首藤です。
今回もご依頼者様からご了承をいただきましたので解決事例として掲載いたします。ひと月以来の投稿になりましたが、現在も数多くの債務整理事件を取り扱っています。
今回は、任意整理からの破産です。
ご依頼者様は、最初、数社の任意整理をご依頼されました。この数社とは交渉の上、和解できたので、ご依頼者様が和解内容どおりに分割払いを開始しました。
ところが、ご依頼者様は、任意整理で和解できたことで気が緩み、他のカード会社からキャッシングや立替払いをしてしまいました。金額も大きな額であり、せっかく任意整理で無理なく返済できるよう話を整えたにもかかわらず、返済が困難な状況になってしまいました。
そこで、ご依頼者様の親族からの申し出により、任意整理の分割払いをストップし、破産に方針を切り替えることになりました。
切り替えの問題点は、全ての債権者と任意整理していれば問題ないのですが、特定の数社とだけ任意整理すると、その時点では問題はなくても、のちに支払不能(返済ができない)となった時に特定の債権者に対し、他の債権者を害する目的で返済したと考えられ、いわゆる偏頗弁済(へんぱべんさい)の問題が出てきてしまいます。このあたりは微妙なところなのですが、債権者側がそのことを知って返済を受けたということになれば、確実に破産管財人から返済分を返還請求されることになります。
今回は、定期預金があったため、換価財産があるとして破産管財人が就きましたが、上記の偏頗弁済も管財人が就く理由の一つになったと思われます。さらには、趣味の物品購入のための借り入れやクレカ利用が借金の理由の大半であったため、免責不許可事由の浪費にあたるとして、破産管財人が就いたのだと思います。
破産手続中、管財人は、ご依頼者様の自宅に来ました。趣味で購入した物品について、換価処分できるものはないか確認するためです。破産は、債権者への配当や管財人報酬に充てるためにできる限り財産を処分して金銭に換価することになります。買い取り業者と連絡をとり、ご依頼者様立会いの下、物品を仕分けしていったようです。また、偏波弁済が問題になった業者には返還請求し、支払った分を取り返していました。
最終的には免責許可が出ましたが、弁護士が介入し、催促がとまったり返済のめどが立つと気が緩み、また借金を重ねてしまう方がいらっしゃいます。弁護士に依頼した後も気を緩めず自身と向き合っていただければと思います。
ご感想をいただきましたので、一緒に掲載します。