解決事例

2023/11/11解決事例

(解決事例)破産・管財

 解決後からしばらく時間が経過しましたが、最近多忙につき、更新ができておりませんでした。

 依頼者様から事前に了承を得ておりましたので、今回も破産の解決事例を紹介いたします。

 

 依頼者様の債務総額は約500万円、借り入れの理由は、エステローンや奨学金、ギャンブル、高額なパソコンのローンなど様々であり、免責不許可事由の「浪費」にあたることはやむなしといった状況でした。

 また、依頼者様は、自営業者でした。自営業者は、収支が不透明であるという理由で、原則として管財手続になり、破産管財人がつきます。例外として、給与取得者と変わらない状況であれば、同時廃止になることもあります。私も自営業者である破産者がサラリーマンと変わらない勤務実態であることを裁判所に説明して同時廃止手続にしていただいたことが過去に何度かあります。しかし、今回は、月々の収入に波があることや取引先が複数あること、交通費は自腹等、サラリーマンと同一実態であるとはいえなかったため、この点でも管財手続になる可能性が高いものでした。

 さらに、依頼者様は、資産として高額なパソコンを所持していました。破産は、平たく言えば、「債権者に全額返済できないけれども、自分の財産をできるだけ処分してお金に変え、いくらかお返ししますので、あとは支払わなくていいようにしてください。」と裁判所にお願いする手続です。高額な財産を保有していれば、処分してお金に換えて債権者に配るという流れになるのが本来です。この点でも破産管財人がついてしまう可能性がありました。

 破産申立て前に生じた問題は、パソコンでした。依頼者様は、自営業者であり、業務でパソコンを使用しており、パソコンがなくなると仕事ができなくなってしまうことが気がかりでした。弁護士が受任通知を債権者に送ると、「引き揚げ(引き上げ)」という手段を債権者は講じてきます。具体的には、分割払いで購入した商品を返却させ、その売却代金を未払い債務の支払いに充てるという方法です。自動車、パソコン、携帯電話の機種代金などが対象です。引き揚げされる場合、契約上、すべての債務が支払い終わるまで、債権者が所有権を有しているという契約になっていることが多く(「所有権留保」といいます。)、このような手段をとってくるのです。最近では、後払いアプリで分割を組んでいたりすると、引き揚げされたりします。今回、債権者はクレジットカード会社だったのですが、引き揚げを通告されました。そこで、返却を免れるため第三者に弁済していただき、パソコンの所有権を完全に依頼者様に移しました。

 本人が返済すると免責不許可事由の偏頗弁済(特定の債権者だけに返済する行為)となるので、本人が払わない形にする必要があるからです。ただし、第三者は支払った分について、求償権という権利を破産者に対して取得するので、破産者は、第三者に支払えないこと、破産によりその求償権が消えてしまうことを事前説明し、理解していただく必要がありました。(自然債務という概念もこの話に関わってくるのですが、細かい話なので今回は割愛します。)ここまでが、申立てまでの問題です。

 破産の申立後は、上記の様々な理由により管財手続になりました。そして、ここでも問題が生じました。申立て前にパソコンを依頼者様の元に残せたものの、今度は、裁判所や破産管財人が、パソコンを換価処分する必要があるかもしれないと言い始めたのです。このままでは結局パソコンを失うことになり、これまでの努力が無に帰すことになります。そこで、「自由財産拡張申立て」を行いました。

 この記事をお読みになっている方々は、現金99万円までなら自分が持ったまま破産できると聞いたことがあるかもしれません。この99万円の現金等を「自由財産」といいます。しかし、「預金」や「パソコン」は、「現金」ではないので、自由財産ではありません。そこで、「現金ではないけれども、破産者が生活にどうしても必要だから自由財産として扱ってほしい。」と裁判所にお願いします。これを自由財産拡張申立てというのです。

 結果的に自由財産は拡張され、依頼者様の手元にはパソコンが残り、免責不許可事由はあるとされながらも裁量免責により免責されました。

 本件では、他にも細かな問題点はありましたが、破産手続においては、パソコン一つでも手元に残すのはいろいろと手間がかかるということを知っていただきたく、今回、解決事例の中でお伝えいたしました。

 

 

 

 

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