解決事例

2026/02/10解決事例

(解決事例)破産・管財(夫婦同時破産・不動産売却・99万円以上の自由財産の拡張が認められたケース)

N総合法律事務所、弁護士の首藤です。今回も一つ事件が解決したので掲載いたします。掲載のご了承はいただいております。

 

ご依頼者様方はご高齢の夫婦でした。住宅ローン(連帯債務)を数十年支払っており、ローンが支払えなくなってきたことから破産をご希望されました。

そもそもローンについては、毎月の利息の返済もできていない状況で、債権者から月数千円でもよいので支払ってくれればよいという話し合いで支払いを継続していたという状況でした。このような場合、利息(遅延損害金)だけでも毎月数万~十数万円でむしろ残債は増え続けるだけになります。そして、支払いを継続しているので、時効も完成しておらず、もしローン債務者が亡くなられた場合にはその相続人に請求がなされるので相続放棄するしかないというパターンです。結局不動産は手放すことになります。ご依頼時点の債務総額は4000万円程でした。一番抵当権者の債権が500万、二番抵当権者の債権額が3500万円ありました。ご夫婦は年金生活者でしたので、完済不能でした。このように、数十年ローンを支払っていても、一旦支払いが滞ると金額が増えていってしまい元の木阿弥になってしまうことがあります。

まず、ご夫婦は高齢であり、車いすを常時利用しているなど歩行が著しく困難な状況で、かつ、施設に入所していました。裁判所への複数回の出廷はほぼ不可能であったことから、申立てにあたっては、ご夫婦双方が出廷免除されるよう上申書を提出しました。この上申は認められました。私だけが裁判所に行きました。

また、ご夫婦は将来的に生活保護を受給する予定だったのですが、持ち家を有していたことから、この財産を処分することが必要でした。財産のある人は基本的に受給資格がないからです。事前の任意売却も検討しましたが、私の経験上、同時廃止を狙って任意売却をしたうえで破産申立てしようとすると、無担保一般債権者(サービサー等)が強制競売申立てをしてくるなどして売却ができなくなるといった障害が生じることがあるので、破産手続きの中で破産管財人に任意売却してもらうようお願いしています。ご夫婦の生活保護申請手続きを進めるためにも早期申立ての必要性がありましたし、管財人に売却してもらった方が債権者からの追求を避けつつ手続きを進められてよいと考えました。この不動産が破産手続き中にどれだけ早く売却できるかで手続きが終結する期間が決まるので、買い手が見つかってほしいと思いながら申立てをしました。不動産は、破産手続き中に売れないと最終的にローン債権は免責されるものの、破産管財人が破産財団から不動産を放棄することで破産者の手元に戻り、抵当権も設定されたままという難しい問題が起きてしまうからです。財産状況報告集会(債権者集会)を複数回重ねたものの、最終的に管財人の先生が抵当権者と交渉しつつも不動産を売却してくれました。とても大変な交渉だったようです。

さらに、高齢者施設利用料の問題がありました。破産手続きが長引けば長引くほど毎月の固定支出である施設利用料がかかります。生活保護申請も通っていないので、形式的に破産手続開始決定時の財産が自由財産の現金99万円を超えているからそれを超えた財産は換価配当するということになれば、手続き中に利用料が払えなくなる可能性もありました。そのため、99万円以上の自由財産拡張申立てをしました。拡張申立ての結果、夫婦ともに数十万円の拡張が認められ、99万円を超えた財産の保持が認められました。なかなか99万円越えの拡張が認められることはないので、私も初めての経験でした。高齢者であり、年金受給者であるという今後、大きな収入が期待できない属人的な要素が裁判所の判断に大きく影響したのだと思います。

他にも、終盤になってから新たに長年使用されていない預金通帳が発見され、追加の申告を行い対処しました。最終的にはご夫婦は免責され、不動産は売却に成功し、施設料もある程度確保できました。

 

住宅ローン債務は後々大きな問題になる可能性があります。任意売却のタイミングもうまくいかなければ差押えされたり競売にかけられてしまったりするのでスケジューリングが重要だと改めて思いました。破産管財人の引継予納金の支払いがネックと考える方もいらっしゃると思うのですが、破産手続きの中で差押えや競売にかけられることを抑えつつ、破産管財人と連携した不動産仲介業者(今回はご夫婦が懇意にしていた仲介業者様でしたが)に売却してもらった方が円滑に解決できる場合もあるので、破産申立て前の任意売却だけがベストな方法であるというわけではないとお伝えしたいところです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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